はじめに
2025年2月から5月にかけて【楽器改造】企画を行ってきました。
これは、以前ドラム教室で使用していたドラムセットを改造し、自分の演奏用にしようというものです。
安価な楽器にもメーカーが用意したコンセプトがあり、良さもあります。
安価で手に入りやすいドラムセットをお金と時間をかけて改造するので、失敗したらメリットは0です(当たり前)
それを果たしてDIY初心者の私が改造して成功させられるのか?
そんな葛藤を抱えたまま数年の時が過ぎましたw
しかし、この楽器をそのまま置いておいても演奏の仕事ではちょっと使えないし…
ちょうど2025年6月に小編成の本番もある。
ということで、その本番に間に合うようにやってみようと数年越しに重い腰をあげてとりかかることにしました。
【楽器改造】の様子は工程ごとに動画を撮影し、youtubeに上がっています。
是非ご覧ください。
このブログでは、使用した道具に焦点をあててご紹介します。
①ラグパーツを外してカバリングを剥がす
この工程では、私は道具はほぼ使用していません。
強いて言えば『スクレイパー』くらいのものです。
上記の商品は飽くまで1例です。
できればプラスチック製のものがいいと思います。
プラスチック製であればシェルを傷める心配がなくなります。
そして、かなり重要なアイテムがもう一つ
それはドライヤーです。
本来カバリングのように両面テープなどで接着してあるものを剥がすには
まず粘着を弱らせる必要があります。
温風を充てて粘着を弱らせながら少しずつ剥がしていくのです。
しかし、動画を撮影する時は、まだその事実を知らなかったため、私の動画内ではドライヤーは使っていません。
また、下記の商品も一例に過ぎないので、自宅にドライヤーがあるようでしたら、特に購入する必要はないと思います。
以上が①ラグパーツを外してカバリングを剥がす
で使用した道具です。



②使わなくなった穴(ラグ用)を塞ぐ
タイトルの通りですが、簡単にこの工程の説明をします。
今回改造した楽器は、タム・フロアタムmのラグ・テンションボルトの数が表裏で5本ずつでした。
各メーカーからテンションボルトが奇数の楽器も出ているようですが、自分はやはり偶数の方がチューニングがしやすい印象でした。
そのため、元々ラグが付いていた穴を全て塞ぎ、新たに穴を空ける必要がありました。
②は必要無くなった穴を塞ぐ工程です。
私が使用したのはエポキシパテです。
木工パテ、アクリルパテ等他にもありましたが、この後の工程で使用する塗料がオイル系なことから、木工パテは使用できず、アクリルパテはたくさん探しましたが色のバリエーションがほとんどありません。
また、上記3種類の中でエポキシパテが1番強度が高いということもわかったので、カラーエポキシのブラックを使用することにしました。
思っていたよりも硬化が早く、少々苦労しましたw

③パーツ用の穴を新たに空ける
これが1番大変でした。
まず、各シェルの円周を測ります。(インチでサイズは出ているのでわかりますが、念のため。)
それを、フープのボルト数に合わせて割ります。(6本であれば円周÷6)
さらに、ラグの取り付けピッチ(取り付け穴の中心から中心までの距離)と取り付け穴径を測ります。
取り付け位置についいては工程②で塞いだ穴の位置を参考にします。
本来でしたらボール盤という工具で行うところですが、私が持っているものは卓上タイプであり、シェルに穴を開けるには治具等の製作が必要になったため、私はドリルで穴を開けました。
使用したのはBoschのIXO5というモデルです。
これに専用のドリルユニットを装着します。
付属のドリルに必要な穴径の物がなかったため、ドリルセットも使用しました。(下記の製品は例)
私と同じ道具を使用しても可能ですが、ドリル本体はIXO以外を使用することをお勧めします。
持ち運びが便利で、かつ下記の製品との組み合わせでヘッドの張替えに最適なので使用しています。
つまり、私がIXOシリーズを使用する本来の用途は本来穴開けではないのですw
コンパクトなので便利ですが、トルクが弱いため、ドラムシェルのような厚みのある物に穴を開ける場合はもう少しトルクのある製品を使用することをおすすめします。


④シェルの内側を加工する
ここで使用したのはちょっと特殊なニスです。
それは、ヴァイオリンニス(仕上げ用)です。
期待する効果は、木材だけの時よりもより余分な倍音が消えて低音にフォーカスされるようになり、自然なサスティーンを出すことです。
以前、大太鼓で試したことがあったので、今回も迷わずこれを選びましたが、前回と違ってうすめ液を使用したことです。
うすめたヴァイオリンニスを刷毛で丁寧に塗りました。
ヴァイオリンニスはリンツ楽器という通販サイトで購入しました。
うすめ液はこちらです。
刷毛はどのようなものでも問題ありませんが、一例を貼っておきます。

⑤塗装する
ここで使用する塗料を選ぶのに、1番頭を悩ませました。
一般的なのはラッカー系塗料だと思いますが、中にはオイルステイン+クリアラッカー等、例は様々です。
これに関しては正解はなく、どのような音にしたいかで変わってくると思います。
私は、オイル塗料を選びました。
オイル塗料というのは、先程チラッと登場したオイルステインとはちょっと違います。
木材に染み込んで内側から保護するという特徴は変わりませんが、オイルステインは更に仕上げ剤が必要となるのに対し、オイル塗料は仕上げ剤を含んでいます。
そして、このオイル塗料を仕上げに使用しているドラムメーカーもちゃんとありました。
元々の木材がかなり軽いので、オイルを染み込ませることで粘りのある音になることにも期待しつつ、ウエスを使って塗りこんでいきました。
下記の1Lサイズを購入し、半分程使いました。
⑥ラグパーツを着けてチューニングする
結論から申し上げて、成功しました。
出来上がった楽器の紹介を配信でおこなっております。
また、直後に演奏動画も改造楽器で撮っています。
ポプラの軽く抜けの良い特徴は残したまま、低音にフォーカスされたまとまりのある音になり、小口径のバスドラムは小回りが効いて便利です。


あとがき
今回の楽器改造は大成功でした。
しかし、一歩間違えれば、安価な楽器の良さを失いお金と時間を浪費することになりかねない計画でした。
1回の(正確には2回)成功で確かに技術は身についたと思いますが、むしろ大変さの方が身に染みてわかったと思っていますw
同時に、楽器作りのプロはやはり各メーカー様だなと。
楽器を使って演奏していく身として、メーカー様へのリスペクトを忘れず、今まさに自分が良いと思える楽器に巡り会えたことに感謝しながら精進したいと思います。
今回のことで楽器改造についてはある程度相談に乗ることはできそうなので、必要な方は問い合わせフォームからお寄せください。
最後に、今回の件で確信したことが一つ。
それは、私は塗装が好きだということですw
とはいえそうそう楽器改造や楽器の塗装は機会がないので、手軽にできるプラモデルを始めようと思いますw
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考までに、今回の改造で使用したフープやヘッドをご紹介します。
フープはPearlのsuper hoopⅡ、ヘッドはasprのS2lightのクリアです。


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